2019年3月25日月曜日

なぜバブルは起きるのか?

◇ 資本主義は拡大することでなりたつ
 昔のお金は物々交換の仲立ちだったが、今のお金にはそれをはるかに超えた意味合いがある。もちろん物々交換の仲立ちとしての意味合いも残っているが、それは貧乏人がはした金を使う場合の話である。金持ちにとって、あるいは企業にとって、お金は物を交換するためにあるのではない。彼らにとって、お金はお金を生み出すためにあるのだ。お金は物を生み、物はお金を生む。そうやって自己増殖する。これが資本である。雪だるま式という言葉があるが、転がりながら拡大し続けることが資本の役割であり、条件でもある。
 資本主義は拡大することでなりたつのである。拡大再生産できると見込めるところに資本が投じられるのであって、単純再生産、ましてや縮小再生産することが分かっているようなところに資本を投じる資本家はいない。拡大再生産とは「利潤を得ながら資本を増やすこと」で、これが資本の目的である。単純再生産とは「得も損もしない=資本が増えも減りもしないこと」だから、資本にとっては何もしていないに等しい。縮小再生産とは「赤字=やればやるほど資本が減ること」だから、そんなことをするくらいなら資本を寝かせておく方がマシである。
 そして、資本が拡大するためには未開拓地があることが条件である。アメリカの西部開拓時代に言われた「フロンティア・スピリッツ」という言葉が資本主義の本質を現わしている。そしてこれは資本主義のジレンマでもある。未開拓地を開拓していけば、やがて未開拓地が無くなるからである。未開拓地が無くなれば、資本は拡大できなくなって、資本主義そのものが成り立たなくなる。


◇ なぜバブルは起きるのか?
 成長の時代が終わって、成熟の時代になった。けれども、人は成長を夢見る。資本は拡大しようとする。新しい市場を開拓しようとする。そして資本が向かった先が、土地であり、金融であり、新しい通貨であった。バブルの発生である。いずれも当初はうまくいった。拡大再生産できたからである。そこは確かに未開拓地だった。
 いずれも実体を伴わない空間だったが故に、急スピードで開拓が進んだ。そしてまもなく行き詰った。バブルの崩壊である。1980年代に日本で土地バブルが発生し、1990年代にアメリカで金融商品が開発され、2000年代にヨーロッパで新通貨ユーロが誕生した。日本の土地バブルとアメリカの金融バブルはすでに崩壊した。ヨーロッパではいま現在ユーロ危機のさなかにあるが、これもバブルの一種だとすれば早晩崩壊するに違いない。
 それでも、バブルの発生から崩壊するまでの期間を通じて、資本は資本の役割を果たした。すなわち、資本は自らを拡大させることに成功したのである。ところで、実質的な成長を伴わないバブルでなぜ資本が拡大したのかというと、反対に縮小したものがあるからである。日本のバブル景気で儲けた人・企業がある一方で、損を抱えた人・企業がある。アメリカの金融バブルでウォール街は大儲けしたのだろうが、リーマン・ショックで家を失った多くの人がいる。ヨーロッパの通貨統合で得した企業がある一方で、いま苦しんでいる人がいる。
 成熟の時代はゼロサム経済の時代でもある。途上国が発展する過程ではのべの富が増えるから先進国と途上国の間で純増分を分け合うことができるが、ゼロサム経済においては富の量が変わらずに富が移動するだけである。全体としてパイが増えない状況で、誰かが得すれば誰かが損するということだ。
 それでも資本が拡大するのが資本主義経済のお約束である。そして、バブル経済において誰かが犠牲になるのは資本主義の宿命である。だから、そのことに文句を言っても始まらない。それよりも、バブルでしか資本を拡大させられなくなったこと、そしてバブル経済によって経済格差が確実に広がることに資本主義経済の限界を見るべきだ。
 バブル経済は姿かたちを変えてまだまだ続くだろう。資本主義経済の限界は見えてきたが、次の経済システムはまだ見えなくて、資本主義経済の一形態であるバブル経済の終わりもまだ見えない。景気対策という名の財政バブル、金融緩和という名の消費バブル、TPPという名の貿易バブル、意図するしないにかかわらず、後で振り返ればいずれもバブルと呼ばれるだろう。
 いま政府が言っている「成長戦略」や「景気対策」も同じだろう。受注した企業が利益を上げれば(当然そうなるはずだ。それが当初の目的なのだから)、必ず損する人が出る。財源が税金なら損するのは国民で、国債を発行すれば損するのは将来世代だ。


            

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