2019年4月3日水曜日

海の政権をやっつけた話(in 古事記)

 昨日の「因幡のしろうさぎ」に続いて、今日は「海彦・山彦」の話。どちらも古事記の中に入っている物語である。古事記の中の「海彦・山彦」の物語は、次の通りである。
 海彦(海幸彦)は海辺に住み、魚を獲って暮らしている(漁師)。山彦(山幸彦)は山に住み、獣を獲って暮らしている(猟師)。
 ある日二人は互いの道具を取り替えて、海彦は山で猟を、山彦は海で漁をした。ところが山彦は魚に釣針を取られ、失くしてしまう。まぁよくある話だ。
 海彦は怒る。山彦は新しい釣針千本で許しを請うが、海彦は許さない。何が何でも元の釣針を返せ、と言い張る。海彦の理不尽な要求に応えようと、山彦は海の中まで探しに行く。このクレーマーとお人好しのやり取りは、現代日本にもよくある光景である。
 山彦は竜宮城(綿津見神の宮)に着いて、乙姫(豊玉姫)と結婚し、楽しく暮らして、3年後に失くした釣針と土産にもらった魔法の道具を持って元の場所に帰る。山彦は釣針を海彦に返し、ついでに魔法の道具で海彦をやっつけた。・・・そういう話。
この話は、昔話「浦島太郎」にちょっと似ている。けれども、だいぶ違う。浦島太郎も山彦も竜宮城に行ったが、職業が違う。浦島太郎は漁師で、山彦は猟師。漁師の海彦は竜宮城には行っていない。
 乙姫(豊玉姫)にもらった土産(玉手箱)の役割もだいぶ違う。というより、むしろ真逆だ。浦島太郎はそれによっておじいさんになってしまったが、山彦はそれを使って海彦をやっつけた。浦島太郎にとってはろくなものではなかったが、山彦にとっては素晴らしい武器だった。
 さて、古事記の中のこの話に「因幡のしろうさぎ」と同じ隠れたテーマがあると私は思うのだが、いかがだろうか。すなわち、
 の連中は嫌な奴らで、正義にある。だから、陸の政権が海の政権を打ち破った。その結果、権力が沖ノ島あたりから奈良あたりに移ったのさ、ふふっ。
浦島伝説にかこつけて、暗にそういうことが言いたかったんだろうなぁと私は思うのだ。

 ところで、昔話「浦島太郎」の解釈 はまったく異なるものになる。それは今風に読んでもとても面白い。とても腑に落ちる話である。


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