沖の島に住んでいたうさぎは、海を越えて出雲の地に渡るために、サメに嘘をついてサメの背中伝いに渡ってきた。ところが嘘がバレて、サメに毛をむしられ皮を剥がれる大怪我を負った。ところで、うさぎがやってきたという「沖の島」だが、古事記には「淤岐嶋」と書いてある。「おきのしま」と読むのは間違いなさそうだが、その場所は具体的にどこだろう? 一般的な言葉としての「沖にある島」なのか、現在の出雲の沖にある「隠岐の島」なのか、あるいは今年2017年に世界遺産になった福岡県の「沖ノ島」なのか。
その場所に大国主の兄たちが通りかかって、うさぎに言った。「塩水で体を洗え」と。その通りにしたうさぎは、なおさら皮膚がヒリヒリしてますます悪くなった。
次に大国主がやってきて、うさぎに言った。「真水で体を洗え」と。そうしたらやがて良くなった。・・・そういう話である。
そういえば、世界遺産の「沖ノ島」に上陸する前に必ず「海の水で身を清める」。テレビで沖ノ島の紹介をする度に必ずと言っていいほど出てくる話なので、ご存知の方も多いだろう。ところで、この話、大国主の兄たちが言った「海水で体を洗う」のと同じだ。
ところで、古事記神話にとって最も大事な神社は伊勢神宮だ。伊勢神宮では、すぐ横を流れる五十鈴川の「川の水で身を清める」。大国主が言った「真水で体を洗う」のと同じだ。
神社にお参りする前に、あるいは神域に入る前に水で身を清めることを「禊(みそぎ)」というが、古事記の「因幡のしろうさぎ」のくだりで「2種類のみそぎを比較」していると読めないだろうか。つまり、
海水でみそぎをするなんて、大国主の兄たちも沖ノ島の連中もバカみたい。うさぎの話にかこつけて、暗にそういうことを言っているんじゃないのかなぁ、と私は思うのである。
私たちが伊勢神宮でしているように、真水でみそぎした方が良いに決まってんじゃん。
沖ノ島をはじめとする海の政権はもう終わり。これからは私たち陸の政権の時代だからね。
似たような話がもう一つある。「海彦・山彦」の話である。
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