2019年4月4日木曜日

古文・漢文は関西弁風に訳せ (ベトナム)

ホイアン の古い建物には漢字がたくさん書いてある。額にして掛けてあったり、布に書いてあったり、柱に彫ってあったり。
 でも、今のホイアンの人たちのほとんどは読めない。今ではみんなベトナム語を使っているからである(ちなみに現代ベトナム語はアルファベットを使うので、ボクらも音だけは大体わかる)。
 だから、ホイアンの古い建物に残っている文字は、今のホイアンの人たちよりも、むしろ日本人の方がよっぽど読めるのである。
 右の写真がその一例で、とある家の柱に彫ってあったものだ。この文章はボクらにも読めて、ウチの父も共感していた。

   祖父常言勤倹為先成大業

 せっかくだから、ウチの父風に訳してみよう。(ウチの父は福井弁なんだが、関東の人が聞けば、関西弁のように聞こえるだろう)。
じぃちゃんがいつも言うてたで。
しっかり働いて、節約せぇ、って。
先にそれやれ。そうすりゃぁでっけぇこともできるで。
ところで、一般的に言えることだとボクは思っているのだが、古文・漢文を訳すときは、関西弁風に訳すのが良い。なぜなら、言葉を正確に訳すより、大意をつかむ方が大事 だと思うからである。標準語に訳そうとすると、正確に訳そうとして、きっとどこかで行き詰る。それくらいなら、方言に訳そうとした方が気楽に大雑把に訳せるだろう。
 というのは、そもそも 古文・漢文を外国語と思わず、日本のどこかの方言と思え とボクは考えるからである。東北か九州か福井あたりのおじぃちゃん・おばぁちゃんの言葉だと思えばいいのだ。最初は何を言っているのかさっぱりわからない、けれども慣れれば少しずつわかるようになる、そういう理解の仕方が良いとボクは思うのである。
 だからと言って、多くの人にとって、福井弁に訳すのは難しいだろう。だから、ほとんどの人になじみのある 関西弁風に訳す のが最適だと思うのだ。適当に大雑把にノリでやる、古文・漢文を読むときは、そういう心意気で臨むのがいい。
 古い言葉だけれど、やっぱり日本語。自分たちが普段使っている言葉とだいぶ違っているような気もするが、やっぱり日本語。だから、方言の一種だと思えばいいのだ。かなりきつい方言のように最初は感じるかもしれないが、でも慣れれば分かる。そして、訳す際は、方言風に訳すのが実は合理的なのである。くれぐれも、古文・漢文を外国語のように勉強しようとしてはならない。

0 件のコメント:

コメントを投稿