2019年4月3日水曜日

ミャンマーのバイオ燃料

(2007年冬)


 人間が使うエネルギーのかなりの部分は「熱源」として使われています。一般的に熱は、エネルギーの質は低く、量は多く必要です。一方、電気は質の高いエネルギーです。電気を熱源として使うことは、質を大きく落として使うことになりますから、非常にムダな使い方だといえます。また貴重な化石燃料を熱源として利用することもまた、非常にもったいない使い方だといえるでしょう。
 ミャンマーの田舎では熱源のほぼ100%を植物で賄っています。薪が中心で、米のワラなども使われます。各家庭で薪を拾い集め、常に一定量を置いています。写真1は民家の2階にある台所ですが、燃料は薪です。地方都市でも、熱源のおそらく90%くらいは植物燃料でしょう。屋台など屋外ではやっぱり薪を使います。町中のレストランなどでは煙の出ない木炭が中心です。高級ホテルや金持ちは、プロパンガスも使うようです。写真2はホテルでの焚き火。客と従業員がいっしょになって温まりました。ホテルには暖房設備はありません。南国ですから要らないといえば要らないのですが、冬の間の朝晩寒い時にはこうして暖をとります。写真3はインレー湖近くのニャウンシュエのレストラン。燃料は木炭でした。
 写真4はトレッキング中に撮ったものです。ガイドはそれを「バイオ・ディーゼル」と呼んでいました。ガイドの話によると、ミャンマー政府主導のプロジェクトで、この植物から自動車燃料を作っています。その木の実の大きさはコーヒー豆くらいで、1kgで日本円にして30円ほどで買い取ってくれるそうです。ここが熱帯雨林地域であることと人件費が安いことが、大きなアドバンテージなのでしょう。
 けれども、実際にこれが経済的に成り立つのかどうか、他の場所でもできるのかどうなのかはわかりません。

 バイオ・ディーゼルはちょっと脇に置くとしましょう。ミャンマーの人々にとって、電気はまず第1に明かりとりのためのものです。熱源としては多くの場合、植物を使っています。それは彼らが貧しいからだともいえます。けれどもそれが、効率的で合理的なエネルギーの使い方だともいえます。
 「再生可能エネルギー」あるいは「植物の利用」ということが日本でも盛んに言われています。でもその議論は、発電のためのものがほとんどです。ハイテクを駆使した複雑なシステムばかりです。ボクたちも「植物を熱源として利用する」ことをもっと積極的に考えてみるべきではないでしょうか。

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