「てにをは」は言葉に膨らみを持たせてくれるとても便利なものだ。けれども、それを日本語の「縛り」のように感じて、使いにくいと感じている人が多いようだ。そういう人は、むしろ漢語(熟語)や英単語を使いたがる。
先日の出来事である。ある人が「地域コミュニティーの交流に貢献します」という文を書いてみたが、どうもしっくりこないと言う。彼から話を聞いて、ボクが提案した。
「この地区で働く人、住む人、訪れる人の懸け橋になります」と書いたらどうだ、と。
そうしたら彼は「てにをは がおかしい」と言う。「この地区 で 働く人、この地区 に 住む人、この地区 を 訪れる人」にしなきゃならないが、これじゃ「この地区」が何度も出てきて良くない。だったら「この地区の労働者、住民、訪問者」の方が自然だ、と。
いや、そうでもないのである。「この地区」が「懸け橋になる」に係っていると思えば、まったく正しい使い方だ。
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「この地区で 働く人、住む人、訪れる人の 懸け橋になります」
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そうしたら彼はこう言った。「人は前から順番に読んでいくんだから、そんなふうには読まないだろう」と。
いや、だからそれでいいのである。前から順番に読んでいけば「この地区 で 働く」となって、とても耳触りがいいのである。しかも文法的には「この地区 で 懸け橋になる」のだから、どこもおかしくないのである。
和語(=やまとことば=訓読みの日本語)と「てにをは」をうまく使って、やわらかい日本語で語ろう。そこに日本語の細やかさがある。今どきの日本ではその方が人の心に響く。(←↑和語で書いてみた)
「てにをは」を避けて漢語(=熟語=音読みの日本語)や英単語(=カタカナ言葉)を使う方が簡単だが、微妙なニュアンスを表現できない。ありきたりで読者のハートに届かない。(←↑熟語・英単語を多用してみた)
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