2019年4月9日火曜日

天皇が神だった頃

 ニッポンの「八百万の神」と、一神教の「全知全能の神」は全く別物です。日本人は「1粒のコメの中に3人の神様」を見ます。菅原道真(=人)も、キツネ(=動物)も神です。時には石だって木だって神と呼ばれます。亡くなった人はみんな神になります。
 さらには、「たたり神」というものもあります。「旅館のおかみ」も「ウチのカミさん」も神です。 日本人にとって、「ありがたいもの、畏れ多いもの、自分より上の立場のもの」は、全部「神」なのです。「天皇=神」という発想は、その流れの中で出てきたごく自然な発想です。
 数ある神の中で、天皇は特別の存在でした。日本の歴史をみれば、それがわかります。天下を治めることは、天皇の代わりを引き受けることであって、天皇の存在を否定することではなかった。幕府は「天皇から政治を任じられた」という形をとり、最後にはそれを「天皇に返還」しました。いずれの政治体制もその立場を貫いてきました。こんな国は、日本の他にはありません。
 天皇がどういう意味で特別だったかと言うと、それが「国の象徴」だったということです。天皇の存在が国家と国民の意識を育て、人々の間に「国のため」に頑張ろうという意識が芽生えました。その心意気を、人々は「天皇のため」と表現しました。これは「世のため、人のため」と同義です。
 ところが、戦後に日本を占領統治したGHQには、日本人のその感覚が理解できなかった。まぁ無理もないことですが。GHQの目は、日本人が「天皇=全知全能の神」と信じているように映った。そして、「こりゃヤバイ。変えてやらにゃぁ」と考えた。そして日本人の意識解体が図られた。そうこうするうちに、日本人の多くもGHQと同じ感覚になっていった。・・・そして今に至ります。
 日本人は無神論者になりました。今時の日本人の感覚では、宗教は洗脳であり、テロであり、危険なものです。日本人は愛国心を失いました。今時の日本人の多くは、愛国心という言葉から戦争だけをイメージします。
 ボクは問いたい。「天皇=神」は危険思想ですか? それは日本古来のものなのではありませんか?
 「天皇のため」は洗脳ですか? 「愛国心」は悪ですか? 戦前と戦後、洗脳されているのはどっちでしょうか?

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