2019年4月8日月曜日

中国のスローガン、2種

(2018年夏)

 いま中国のどこに行っても見かける標語がある。電車の中、街の電光掲示板、テレビ・コマーシャルなどなど、どこでも同じ標語を見かける。「社会主义核心价值观」(社会主義核心価値観)と銘打って、次の10個の言葉が並ぶ。
 富强、民主、文明、和谐、自由、平等、公正、法治、爱国、敬业、诚信、友善
(富強、民主、文明、和諧、自由、平等、公正、法治、愛国、敬業、誠信、友善)
心意気としては大いにアリだと思う。中国の実態と合わないところがあるとしても、標語とはそんなものだし、間違ったことは何一つ言っていなし、なかなかすっきりとして良い感じだと思う。子供に学ばせる用語集としても悪くない。
 たまたま通りかかった雲南大学の校舎の屋上にも掲げられていた。


 他に、次のようなものも見かけた。
邪教害人、害己、害社会
「邪教は人を害し、己を害し、社会を害する」と言うことなんだろう。ところが、こちらはよろしくない。なぜなら、この言い方は単なる決めつけだからである。
 ある宗教なり社会的活動なりを「邪教」と呼んで「奴らは人を害し、己を害し、社会を害する」と言うのだが、「邪教とは何か?」という説明もないし、他の宗教や活動と「どこが違うのか?」という視点もない。
 この言葉は「あれは邪教だ」というところから始まっている。そして「邪教とは何か?」という問いに対しては「人を害し、己を害し、社会を害するものが邪教だ」という答えしか返ってきそうにない。
 つまりこの言葉は形の上では無意味な同語反復(トートロジー)でありながら、根拠のない決めつけによってある活動を一方的に迫害するだけの暴力的な力を持つのである。

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