2019年4月3日水曜日

スサノオ と ヤマタノオロチ と クシナダヒメ

 スサノオは、その名の通り、荒(すさ)んだ男。心が荒み、行いが荒み、きっと見た目も荒んでいたことだろう。
 ヤマタノオロチが好きなのは、女と酒。女に狂い、酒に溺れて、身を滅ぼした。なんともわかりやすい話である。
 こうして見ると、スサノオとヤマタノオロチは似た者同士。ヤバさ加減はどっちもどっち。そんな人がいたら、近づかない方がいい。近づくと、きっと面倒なことになる。そういう輩である。

 さて、スサノオがロールパンナなら、ヤマタノオロチは誰だ? ロールパンナに近い存在というと、一人はメロンパンナ。けれども、メロンパンナのキャラはヤマタノオロチのそれとは明らかに違う。
 メロンパンナはお色気キャラ。必殺技「メロンパンナのメロメロパンチ」がそれを物語っている。それを喰らったばいきんまんは、メロンパンナちゃんにメロメロになってしまうのである。
 こうしてヤマタノオロチは誰かという問題が振り出しに戻ってしまったのであるが、ロールパンナに近い存在がもう一人いる。ばいきんまんである。では、ヤマタノオロチはばいきんまんか? そう考えると、確かに似ている。ダダンダンに乗って暴れ回るときの破壊力は、ヤマタノオロチ級と言えそうだ。その線で考察を続けよう。
 でも、そうすると今度はメロンパンナが宙に浮く。メロンパンナはロールパンナの妹だから、スサノオとヤマタノオロチの物語に登場しない訳がない。そう考えたときに思い至るのは、クシナダヒメ(櫛名田比売)だ。ヤマタノオロチに喰われそうになって、スサノオが危機一髪で助けた、若くてきれいな娘である。

 さて、ここに至って、すべてがしっくりきた。すなわち「ばいきんまんの仲間だったロールパンナ。このときロールパンナの胸には青いハートが光っていた。けれどもメロンパンナがばいきんまんに襲われそうになって、ロールパンナはばいきんまんをやっつけて、メロンパンナを助けた。このときロールパンナの胸のハートは赤く光っていた。」、そういう物語だと受け取ったらどうだろうか。
 暴れ回るロールパンナ(青いハート)は、アマテラスの宮殿でうんこをぶちまけたときのスサノオと同じ。ばいきんまんをやっつけて妹のメロンパンナを助けるときのロールパンナ(赤いハート)は、ヤマタノオロチをやっつけてクシナダヒメを助けたときのスサノオと同じ。そういう構図である。

 とはいえ、スサノオとヤマタノオロチはもともと似た者同士。ロールパンナとばいきんまんの関係と同じだ。ロールパンナとばいきんまんはこれからもしばしば一緒に行動するだろう。青いハートと赤いハートはこれからもどちらも点滅するからだ。
 クシナダヒメとメロンパンナはどちらもかわいくてか弱い女の子。クシナダヒメがお色気キャラだったという記述は古事記には見当たらないが、櫛の姿でスサノオの髪に隠れている最中に、ヤマタノオロチに向かってメロメロパンチみたいなものを、もしかしたら繰り出していたかもしれないのである。女好きなヤマタノオロチのことだから、それにかまけているうちにスサノオにやられてしまったという、そんな裏話もありそうなことである。
 スサノオとクシナダヒメはこの事件の後、結婚した。ロールパンナとメロンパンナはもともと姉妹である。事情は多少違うが、それぞれが家族であるという点では一致している。こうして見ると、古事記世界とアンパンマン・ワールドは見事にシンクロしているのである。


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