2019年3月29日金曜日

著作権模擬裁判

 私が授業で著作権の話をするとき,「○○はやっちゃいけない」ということは基本的に言いません。反対に「やっていいこと」を並べます。そのために,著作権法の条文を生徒と一緒に読みます。
 著作権法には「著作者は,その著作物を複製する権利を占有する」(第21条)と書いてあります。これが原理原則です。一方で,著作権法には例外規定も書いてあります。第30条から50条に「一定の条件の下に」利用者が利用・複製できる場合が示してあります。
 私が授業で著作権をやるときの中心は,その「例外規定」です。法律で「やっていい」と書いてあることは「遠慮せずに正々堂々とやれ」と私は言っています。もちろん,勝手に拡大解釈してはいけないのですが。
 そうすると生徒が私に聞いてくるんですね。「○○のようなことはしていいんですか?」,「どこまでならやっていいんですか?」と。そういうとき,私は次のように答えます。「そんなことはオレに聞くな。違法か合法かを判断するのは裁判所の仕事だ。オレの仕事じゃない」と。それでもしつこく聞いてきたら,「裁判で勝つ自信があるならやればいい,負けるかもしれないと思うならやらない方がいい」と。
 そして定期テストでは,次のような問題を出します。

〇 授業中に示した「著作権法の条文」は,Webサイトから私が勝手に複製(コピー)したものです。さて,その件で私が「著作権の侵害だ!」と訴えられたと想定します。そこで,みなさんには,弁護士になったつもりで,私を弁護してもらいたい。
 では,ここで【問題】です。著作権法の考え方にもとづいて,私がシロだと考える根拠を3つ挙げなさい。

 では,<解説・解答>です。根拠としては,

  • 法律には著作権は無い。    (著作権法13条)
  • 学校で授業中に先生が使った。  ( 〃 35条)
  • 説明のために一部を引用した。  ( 〃 32条)
  • 法律制定から50年以上経過した。  ( 〃 51条)

などを挙げればいいでしょう。
 「誤答例」も示しましょう。1つか2つまでは挙げられても,根拠を3つ挙げるのはけっこうきついようで,3つ目あたりには苦し紛れにひねり出したような文章が現れて,採点する側も楽しめます。

  • 営利目的でないからシロ。         → 営利目的か否かは関係ないから ×
  • omori先生が違法行為をするはずがない。  → そう思ってくれるのはうれしいが ×
  • 先生はクロ。牢屋にぶちこんだ方がいい。  → シロの説明になっていないから ×
  • 先生には責任能力がないからシロ。精神鑑定にまわせ。
                      → 著作権の考え方に基づいていないから ×

 3つ書かせるのがミソです。

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