シリアから数百万人が難民となって国外に逃れている。シリア国内で避難生活をしている人を合わせると一千万人を超えていると言う。シリア人口のほぼ半数だ。
さて、彼ら難民は何から逃れているのか?
日本の報道を見ていると、その多くが過激派組織ISから逃れて難民になったように思うだろう。けれども、実際はそうではない。中にはISから逃れて難民になった人も一定数いるだろうけれど、多くの人はそうではない。
彼らの多くは「空爆」から逃れて難民になったのである。空爆で家を破壊されて住むところがなくなって、あるいは空爆にさらされていつ死ぬかわからない、その状況から逃れるために難民になったのだ。
そう考えると、難民を生んだ主な原因はISではないということになる。なぜならISは戦闘機を持っていないからだ。
では、シリアで空爆をしているのは誰か。まずはアサド政権だ。そしてそれを支援するロシアだ。さらにアメリカとフランスが加わった。
アサド政権とはシリアでこれまで長く独裁を続けてきた政権で、アラブの春の流れの中で国民に支持される存在ではなくなった。今では支持しているのはロシアくらいのもので、ロシアの軍事的な支援がなければ、今ごろはとっくに無くなっていたであろう政権だ。
その意味で、シリアの状況がここまでひどくなったのは、ロシアがアサド政権を支援したからだという言い方もできる。
目線を東アジアに移そう。さて、北朝鮮に対してロシアはどう出るか?
ロシアに友好なアサド政権をとことん守っていることから類推すると、ロシアが友好国・北朝鮮をとことん守るのはいかにもありそうなことだと僕は思うのである。シリアだけでない。クリミア半島併合、ウクライナ東部での戦闘、モルドバの沿ドニエストル地方独立の動きなど、ロシア周辺のあちこちでロシアは戦闘に関わっている。
シリアからどれだけの数の難民が出ようとも、アサド政権が化学兵器を使っても、他の国々からどれだけ非難されようが、お構いなしにロシアはとことんアサド政権を守っている。同じように、韓国や日本がどんなことになろうとも、ロシアはとことん北朝鮮を守るだろうと想定するのはあながち的外れではあるまい。
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