2019年4月19日金曜日

まほろば

 「まほろば」という言葉、普段使う言葉ではないが、聞いたことのある言葉ではある。意味はというと、よく分からない。
 漢字はない。いつもひらがなで書きあらわす。だから、この言葉は和語だ。古い言葉に違いない。気になって調べてみた。
 そうして分かったのだが、その言葉が使われているのは古事記くらいしか見当たらない。現代では音楽のタイトルや歌詞の中などで使っているが、古事記の後1000年以上の間にほとんど使われた形跡がないのである。
 古事記の中でその言葉が使われているのは、倭建命(やまとたけるのみこと)が詠んだ歌の中だ。
倭(やまと)は国のまほろば たたなづく 青垣 山隠れる(やまこもれる) 倭しうるわし
有名な歌だが、「まほろば」は古事記の中でもここでしか出てこない。現存する日本の書物の中で最も古いものの中で1回だけ出てきて、それ以来ほとんど使われることがなかったものを、最近になってちらほら使うようになった。どうもそういうことのようである。
 そうだとすれば、「まほろば」の意味は如何ようにも解釈できる。歌の中であれば、なおさらだ。意味がよく分からないにせよ、悪い意味ではなさそうだし、そんなことより耳障りがよくて、なんだか不思議な感じがして、またなんとも心地よい。そんな言葉である。

0 件のコメント:

コメントを投稿