パレスチナ問題について、いろいろ誤解があると思うので、それについて、今日は書きます。
《誤解 その1》 『イスラエルとパレスチナは何千年も前から争っている』
エルサレムはユダヤ教・キリスト教・イスラム教の3つの宗教の聖地である。その地には昔からユダヤ教徒もキリスト教徒もイスラム教徒も住んでいた。しかし、争いはなかった。少なくとも現在あるような争いは。なにしろ、宗教は違っても、言葉はみんなアラビア語、顔つきも肌の色も生活習慣も同じ。つまり、みんなアラブ人だった のだ。互いの宗教を尊重しながら、平和に暮らしていたことだろう。
問題が起こったのは「ヨーロッパから大量のユダヤ人が来てから」である。イスラエル建国の前後にこの問題が始まったのであって、決して何千年間も続く争いではない。前の記事に書いたように「何千年」という話はユダヤ教の教義に基づくストーリーであって、実際は「ここ70年間の争い」である。
《誤解 その2》 『イスラエル・パレスチナ間の戦争は互角の勝負である』
イスラエルは国家であり、軍隊を持っている。パレスチナは難民であって、国家がない。イスラエルがパレスチナを支配している現状では、パレスチナ人は武器を持てない。パレスチナ人の戦いの基本形は「石を投げる」ことである。イスラエル軍が銃を撃ち、パレスチナ人が石を投げる。ニュースで時々耳にする「自爆攻撃」は、それくらいしか手段がないとも言えるわけだが、パレスチナが自爆攻撃すると、イスラエルは戦闘機で空爆する。そういうスタイルの争いを長年続けている。(パレスチナ自治政府ができてからも実態はそれほど変わっていないだろう)
これを「戦争」もしくは「テロ」と呼ぶよりは「抵抗運動」と呼んだ方が実態に合っている、と私は思う。
《誤解 その3》 『似たようなことは歴史上よくあることで、珍しいことではない』
この問題が特異なのは、イスラエルがパレスチナを「支配しながら、排除している」ことである。通常は、支配した後は支配された人たちを取り込むものである。アメリカの先住民にはアメリカの市民権がある。スペイン・ポルトガルは南米を征服したあと、南米に溶け込んだ。イスラエルは現在でも世界中のユダヤ人がイスラエルに移住するのを推進しながら、実効支配しているパレスチナ人に権利を与えていない。イスラエルでは国民の定義も、他の国とは違うようだ。
「支配しながら、排除する」例を探すなら、かつての南アフリカにあった「アパルトヘイト」だろう。そのアパルトヘイトは今やなくなった。しょせんは 無理なやり方だった ということではないのだろうか?
3回にわたった「イスラエル伝説の正体=パレスチナ問題」はこれで終わり。
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