2019年3月26日火曜日

マウベシのポウサダ・ホテル(東ティモール)

(2015年夏)

 東ティモールのコーヒーの産地マウベシは標高1500mほどの山の中にある。首都ディリから悪路を車で3~4時間ほどの行程である。山に囲まれた盆地のような場所にマウベシの街があって、街の中心が小高い丘になっている。
 この地形はカルデラだ。カルデラの中に街があって、周りの山が外輪山で、中央の丘が噴火口だ。確証はないが、インドネシアから続く火山帯の一角にある島だから、きっとそうだ。少なくとも、そのような地形に見える。


 その丘のてっぺんにポウサダ・ホテルがある。ポウサダというのはポルトガル語で「貴族の館」というほどの意味で、かつてこの地を治めていたポルトガル人の総督が住んでいた建物だという。現在はホテルとして営業している。
 その昔、支配者が街の中心の一番高いところから、被支配者を見下ろしていたという構図なのだろう。確かに素晴らしい見晴らしだ。
 ところが、である。部屋にほとんど手をいれていないようなのだ。上下水道は貧弱で、お湯が出るはずもなく、水シャワーもトイレもちょろちょろ流れる水を貯めて手桶で流すしかない状況だ。
 同行の日本人の部屋のドア上の窓ガラスが入っていなくて、夜になって寒くなったと言って、急きょ段ボールをあてがって窓をふさいだ。別の同行者は夜寝ている間にベッドが崩れ落ちた。それはそれで楽しいのだけれど、このままではしょぼい安宿と同じである。
 歴史的建造物でロケーションもよいから、ホテルとしてのポテンシャルは高いはずだ。南国の高地だから気候も快適で、海岸沿いにあるディリの避暑地にもなりうる場所である。実際僕たち旅行者もそこを選んだわけだし、同じ日にディリ在住の外国人も泊まっていた。
 にもかかわらず、部屋にお金をかけ手をかけるという発想が無いようだった。のんびりしているというか、もったいないというか、もうちょっと商売っ気があってもいいんじゃないかと思った。


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