2020年12月5日土曜日

国家は何のためにあるのか?

◇ 国家は何のためにあるのか?
 経済のグローバル化が進んで人と物の移動が盛んになれば、賃金も物価も世界で同じ水準に近づいていく。それがグローバル経済の1つの帰結である。その意味では世界は1つになっていくということだが、一方で国家の枠組みがなくなる気配は今のところ無い。
 ところで、国家が何のためにあるかというと「税を取り立てるため」にあるのである。税金を納めたくないなら独立すればいいのだが、それをやろうとするとどうなるかというと、国家はそれを阻止するために軍事攻撃を仕掛けてくる。つまり「圧倒的な軍事力を背景にして、強制的に税を取り立てる仕組み」、それが国家の本質である。
 もしあなたが「軍事力とは外国と戦うためのもの」と考えているとしたら大きな勘違いだ。それ以前に「国民を従えるために、国民が逆らわないようにするため」に軍事力はあるのである。現に世界の軍隊の多くは内戦もしくは国内での騒動を鎮圧するために投入されている。アフリカでも中東でもロシアでも中国でも、多くの場合、銃口は自国民に向けられる。

◇ それでもあなたは日本で働きますか?
 グローバル経済の帰結として出てくるのは、世界の賃金水準が等しくなっていくこと。つまり、これからの時代、職種が同じなら、おそらくどこで働いても収入はそんなに変わらないだろうということだ。あなたは日本で働いてもいいし、外国で働いてもいい。あなたは自由に選べる。選ぶのは、あなただ。
 一方で、国家の枠組みは当分のあいだ残るだろう。そして国家にはそれぞれの事情がある。日本の特殊事情は2つ。少子高齢化と国債残高だ。そしてそうなると、税が違ってくるのである(上に書いたように、そのために国家があるのだから)。日本で働いた場合は、年寄りの世話と借金返済のために、稼いだうちのかなりを部分を取り上げられそうな勢いである。
 さて、あなたは日本で働きますか? それとも外国で働きますか?

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