(2006年春)
2006年春に、イラン南東部を旅行しました。ボクの目的地は「バム遺跡」。2003年暮れの地震で崩壊した遺跡です。上の写真は、旅先に貼ってあったポスターを写真に撮ったもの。上が地震前、下が地震後です。もともと泥を固めて造ったような建物ですから、地震でもとの泥に戻ってしまったかのようでした。現在はユネスコの危機遺産に登録されていて、ようやく修復が始まったところです。遺跡の周りの町や村でも、遺跡と同じ構造の古い建物は、遺跡と同じ様な被害を受けていました。新しい家はそれほどでもなかったのですが。
さて、バムは小さな町ですから、空港がありません。飛行機を使うなら、空港の選択肢は2つ。パキスタン・アフガニスタン国境に近い「ザーヘダーン」か、イラン中央部に近い「ケルマーン」です。どちらからもバスで3~4時間というところでしょうか。そのどちらかの空港を、周遊ルートやフライト・スケジュールによって、使い分けることになります。ボクはイスラム教シーア派の聖地「マシュハド」から飛行機で「ザーヘダーン」へ飛びました。すぐにバス乗り場に移動し、そのままバスで「バム」へ向かいました。バムで1泊して、その先は乗り合いタクシーで「ケルマン」へ。
さて、その頃の現地の治安状況を、ボクが経験した限りでお話しします。今から10年以上前のことですが、それほど変わっていない点もあると思いますので。
一般的に言うと、イランは治安がよい国です。多くの日本人がイメージしているよりも、豊かです。人々の身なりもきちんとしているし、旅行者にはみんなすごく親切です。道路もきれいに整備されていて、日本のような渋滞がない分、移動もスムーズです。イランはとても旅行しやすい国だというのが、ボクの印象です。
けれども、イラク・アフガニスタン・パキスタンの国境付近だけは例外のようです。ボクが「ザーヘダーン経由でバムへ行く」と言ったら、現地の人はいろいろとアドバイスしてくれました。「国境付近は危険だ」、「他のルートで行った方がいい」、「十分に気をつけて」と。それでもボクは行きましたが、昼間だったこともあって、特に何もありませんでした。バスに乗っている途中に何度も検問があったことを除けば。後で聞いたことですが、「ザーヘダーン」の町では、夜になると時々銃声が聞こえるそうです。
インドからパキスタンを通ってイランに入るルートは、昔からバックパッカーの定番のコースです。現在の状況は、イラン国内よりもパキスタン領内の方が危険度が高いという話を聞いています。そのコースを通る旅行者は十分に気をつけてくださいね。
ところで、イヌが人に噛みついてもニュースになりませんが、人がイヌに噛みついたらニュースになります。今回の事件も、ニュースになるくらい珍しいことだと考えれば、何も怯むことはないのです。イランはとっても素敵なところです。以上、ちょっと古めのマニアな情報でした。
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