2019年3月17日日曜日

一村リゾートの仕組み(杭州・中国)

(2017年GW)

 いま中国の杭州にいる。最近やけに中国づいているわけだが、今回は妻に誘われて、先に来ていた妻を追いかけて、今日杭州で合流したというわけだ。僕は5∕2も5∕6も仕事があって、3・4・5の3日しか休みが取れない。それでこういうことに相成った。
 ここは一島リゾートならぬ、一村リゾート Aman Fayun 。杭州郊外のいくつかのお寺が建ち並ぶ一角にあって、村の中に茶畑が広がっている。その村を丸ごとリゾートにしたものである。
 ここの仕組みがなんとなく見えてきた。
 ホテル特にホテル・チェーンは、オーナーが別にいて、ホテル・チェーンに運営を委託している形が多い。そのホテルはホテル・チェーンの Aman Resort が運営しているから Aman Fayun を名乗っているわけだが、オーナーは別にいて、この場合のオーナーが誰かというと、中国政府もしくは杭州市などの地方自治体。すなわち杭州の一角を観光開発するにあたって、行政が寺社を整備し、村の景観を保ちつつ改造して、ホテル運営を Aman Resort に委託した。きっとそういうことなんだろうと思う。
 そうだとすると、中国ならではのやり方だと言えそうだ。中国らしい、あるいは中国だからできることだと言えるかもしれない。村人を強制的に立ち退かせることも中国ならありそうなことだ。
 ところでこのホテルの宿泊料金はというと、1泊のルーム・チャージが最低で6000元ほど。日本円に換算すると、16倍してざっと1泊10万円となる。これが最低ラインだ。上はさらに跳ね上がる。庶民には縁がない価格帯である。
 それはそうと、村を維持するのはとても人手がかかるだろう。つまりはお金がかかるはずだ。なにしろ部屋数の割に、土地が広い。草木のみならず、茶畑や小川も手入れしなければならず、山の中だから虫や他の動物対策もしなければならない。しかも寺社が建ち並ぶ観光地の中にあるので、宿泊客以外の参拝者・観光客も村の中を行き来する。そういう人たちが客室の方に立ち入らないように、何人もの授業員を配置している。このように、このホテルでは他のホテルには無い、この環境ならではの費用がたくさんかかっているはずなのだ。そう考えると、ホテル代が高いことを考慮しても、僕がみたところ、採算が取れそうに無いのである。
 僕はこの話を、現地で従業員から聞いた話やテレビで見た話、想像したこと・考えたことなどをいっしょくたにして書いている。その点を承知いただいて、さて続けよう。
 ホテルの宿泊代だけではとても賄えないような費用を、さてどうやって運営しているのか。2つの点を考えた。一つは寺の拝観料、もう一つは税金である。その場所はお寺・観光地だから、たくさんの参拝客・観光客がやってくる。拝観料(もしくは入場料)は40元。日本円にして700円ほどである。そのお金を辺り一帯の整備費用に当てても良いわけである。またそこを公共の施設、言うなれば公園みたいなところだと考えれば、税金を投入しても良いわけである。日本の国立公園のようなところだって多額の整備費用と人件費を税金で賄っているんだろうから、杭州のその場所に政府や自治体のお金を投入してもおかしい話ではない。
 そう考えると、実はとても合理的なやり方だとも言える。日本ではありえないやり方だろう。日本では拝観料はすべて寺の取り分で、宗教団体だから非課税で、行政の取り分は無い。日本の有名寺社は、きっとボロ儲けしてるんじゃないか。それに比べれば杭州のやり方の方がずっと良いような気さえする。そしてまた、行政自らが高級リゾートを運営するのも日本ではありそうにないことだ。でも高級リゾートだからこそ一帯のグレードが上がっている。そういう面は確かにあると私は思った。
 一党独裁だからできること、曲がりなりにも社会主義だからできること。嘉峪関の街もそうだったが、中国の観光開発は行政主導で大きく動いている。中国はなかなか強大な国になりそうだ。

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